ひつじのぬくぬく日和

40代パート主婦、夫と高3娘と黒猫♀の三人と一匹家族。

カササギ殺人事件/アンソニー・ホロヴィッツ

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私の大好きな英国ドラマ「刑事フォイル」の脚本家が書いた本でクリスティーのオマージュ作らしい。

 

どうりで面白いと思った(。・ω・。)

 

「フォイル」は集中して見ないと理解が追いつかないくらい重厚。気になって何回も早戻しして"あ…やっと繋がった。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。."となり回を重ねる事にジワジワ来て最後にはすっかり虜になる秀逸な作品。単に私のオツムの問題かも(^^;)

 

この本について語ろうとすると全てがネタバレになりそうだな(^^)

 

上巻は作中作になっており、知らずに読んだから冒頭での編集者スーザンの語りは翻訳本によくある前書きだと思っていた(^^;)

なので"犯人はこいつだ!"で上巻が終わって

((((;゚Д゚)))))))

下巻を慌てて読んだら、スーザンが原稿の結末は⁈どうなってるの⁈と騒ぎ出すところから始まるという

((((;゚Д゚)))))))

スーザンの担当作家アラン・コンウェイが転落死して「カササギ殺人事件」の原稿の結末部分も行方不明になる。

読書は作中作の解決編をお預け食らったまま、作家アランの転落事件と原稿の結末部分の在り処の謎にぶち当たるという((((;゚Д゚)))))))

 

表紙はアンソニーホロヴィッツ著なのにページめくったらアラン・コンウェイ

Σ(-᷅_-᷄๑)

なんじゃコリャとは思ったものの…成る程。

フーダニット・イン・フーダニット…入れ子式だとヒントをくれてたのか(^^;)

二つの話がどう関係するかも読みどころ。

実はもっと細かい謎が散りばめられてるけど割愛します(^^;)

 

上巻の内容

 

パイ屋敷の家政婦メアリが掃除中階段から転落死。掃除機をかけている途中、コードに足を取られ事故死したと見られた。

彼女の葬儀に参加した者は彼女の死に安堵する者ばかり。彼女は「家政婦は見た」の石崎秋子よろしく村人をよ〜く見てたから(^^;)

メアリの息子ロバートが母親と口論し「死んでくれたら」と言ったことから息子が疑われ、息子の恋人ジョイが名探偵アティカス・ピュントに容疑を晴らして欲しいと依頼する。

ピュントは余命わずかで依頼を断るも、村でパイ屋敷の主人サー・マグナスが無残に殺されたと知り捜査に乗り出す。

家政婦の死体を発見した時、鍵が掛かってたから裏口を破って入った女医と庭師。庭師が修理し忘れて空き巣に入られる。

その時は金庫を開けられなかったので、骨董品を盗み後日改めて金庫を狙いに来た強盗にサー・マグナスが殺された。仕事を終えた庭師が屋敷を訪ねて来た他所者を目撃している。

サー・マグナスの書斎の机の上には空の封筒と隣に並べられた手紙があった。封筒は"サー・マグナス"と宛名が手書きされ、手紙ははタイプ打ちの都市開発反対の脅迫文があった。

メアリの住む屋敷内の使用人小屋から日記を見つかる。村人の観察日記だった。

鍵のかかった部屋から犬の首輪を発見する。ロバートの弟の飼っていた犬だかサー・マグナスは嫌っており、ある日惨たらし死に方をしたとか。

サー・マグナス夫人は愛人がいて夫が死ねば遺産を手に出来る。

マグナスの双子の妹は数分の違いで兄が家督を継ぎ、自分は屋敷を追い出され自活を余儀なくされ、裕福に暮らしいる兄を憎んでいた。

家政婦の元夫マシューは妻がサー・マグナスの言いなりなのが気に入らなかった。

ロバートが子供の頃、弟は宝探しゲーム中、屋敷の池で溺死。それ以来、母のロバートへの束縛が酷く二人は不仲。

ジョイはメアリからロバートとの結婚を反対されていた。

庭師は素行が悪く、メアリに目を付けられサー・マグナスに告げ口されてた。

牧師夫婦は都市開発で村の美しい森がなくなるのに反対していた。二人はヌーディストで森は格好の場所だった。その秘密をメアリに知られたかもしれない。

夫の才能を愛する女医は夫が描いた夫人の肖像画を燃やされ憤りを感じていた。

骨董屋夫婦は盗品を売りさばいているのを家政婦に知られる。

メアリの葬儀の時、マシューの姿を見かける。葬儀の日、庭師は盗まれた骨董品を拾って骨董屋に売っぱらった事から強盗の足取りがわかる。

屋敷の池から盗品が発見される。

マシューとメアリはたまに連絡を取り合っていた。メアリが死んだ日もマシューはメアリに電話していた。窓からカササギがとまっているのを見て、古い数え歌を思い出し不吉に思い使用人小屋に電話したが出なかったので屋敷にもかけたが出なかった。メアリはその時既に死んでたのではと。

その後、あんな尽くしていたメアリの葬儀にサー・マグナスが来なかったのに腹を立てたマシューは文句を言いに屋敷を訪ねるも門前払いされる。

一旦帰るも何か腹が立ち、途中で引き返し呼び鈴を押すがなしのつぶて。郵便受けの蓋を開け罵ってやろうとしたらサー・マグナスが死んでいるのを目撃。

 

ピュントが"犯人はマシューだ!"

 

ここで上巻終了、下巻へ。

 

アランの遺書が見つかり、余命わずかである事をはかなんで自殺したとみられた。スーザンは葬儀に参加して関係者に話を聞いたり原稿探したりするうちに他殺を疑いだす。

アランは我が儘勝手で、原稿に関係者を匂わせた人物を登場させるなど質が悪く、人に怨みを買う人物だった。

元妻と別れた後、実はゲイとカミングアウトしたから息子は学校でいじめられ、元妻にとっては浮気相手が男なんて酷い話だ。

スーザンや彼女の上司、TVのプロデューサーには無理難題言って嫌われてる。

元同級生には酷いいじめをし恨まれてる。

姉とは仲良かったが、お金で揉めて関係を悪くする。

スーザンの彼氏はアランの元妻と恋仲だったがアランと結婚したからかアランを敵視している。

アランの恋人(男)は、相続人から外されるも書類にサインする前にアランが死んだから遺産丸々相続する。

 

何やら、怪しい奴だらけ。

 

スーザンの元に隣人と揉み合っている写真が送られて来たり、アランの「羅紗の幕が上がる時」は俺の作品だ!と言う男が現れたりする。

また、アランはお金の為に名探偵アティカス・ピュントを書いてきたが本当は純文学寄りの作品が書きたかった。でも書かせて貰えないからアティカス・ピュントを終わらせたいと思っていた。(コナン・ドイルみたい)

スーザンの上司と作品のタイトルで揉めてたらしい。(クリスティーの孫が証言)

スーザンは上司から、自分は引退するから後を引き継いで欲しいと言われる。同時に彼氏から故郷のギリシャでホテルをやるから一緒に来て欲しいと言われる。アランの元妻との過去を知り、まさか犯人かもと疑心暗鬼の中、一方的なのが癇に障り喧嘩になる。

更に、上司が秘書を首にしといてスーザンに隠していた事から色々思い出し犯人がわかる。

 

原稿は上司の引き出しの中にあった。

 

犯人はスーザンの上司。

 

アランが自殺したと見せかけるのに、自分は原稿を読んでない事にしないといけない。原稿を受け取ったのを知る秘書を首にしてスーザンと合わせないようにした。

ピュントが助手に宛てた原稿内の遺書と本のタイトルで揉めてた時アランの詫びの手紙を利用し遺書にしたてる。

アランは始めからアティカス・ピュントを生み出した時から計画していた。自分の作品のタイトルに縦読みを仕込みメッセージを浮かび上がらせた。

 

アナグラム解けるか

 

名探偵の名前に、むき出しの敵意を込めて卑猥な女性嫌悪の言葉を仕込み、それをラジオ番組のインタビューでブチまけようとしていたから殺された。

世界の憎しみを一身に集め、アティカス・ピュントに1ペニーの価値もなくなり本が売れなくなるからだ。

どうせ余命わずかなら…周りの人間は皆、大なり小なり酷い仕打ちを受けている。自分の本を愛してくれていた人達に、アランは恐ろしく汚いしっぺ返しをしようとした。これは善行だ。

これから会社の最高責任者になるなら会社の事や仲間が職を失う事考えてくれ。君の為を思っての言葉だ。

君の為…に何か不快を感じるスーザン。

 

悪人が名探偵によく言うセリフじゃね?

 

事実は変えられないし、見逃す事も出来ないし、自分を許せなくなる…と拒否。

分かったふりした上司、スーザンを後ろからトロフィーで殴り周りに火を放ち逃走。危うしと言うところで、仲直りに来た彼氏が現れる。スーザンは彼氏に原稿を持って来させ、彼氏に無事救出される。

 

解決部分

 

マシューの電話に慌ててメアリが出ようとして転落死したからある意味彼が犯人とピュント。

 

サー・マグナスを殺したのはロバート。

 

小さい頃からロバートは何処かおかしいと感じていたメアリ。先に弟が宝を見つけた事に怒って殺してしまうのを鍵のかかったあの部屋から全て見てしまった。

飼い犬の死も疑っていたメアリは外界の色々なものを息子から守るため目を光らせていた。

この事を知られたくないから夫を遠ざけ、結婚にも反対した。

やがて息子の狂気が自分に向く事を恐れ、真実を手紙に書き信頼出来る高貴な身分のサー・マグナスに自分が死んだら開封するよう託し金庫に保管して貰った後、ロバートに手紙の事を話した。

メアリに何かあったり、不審な死を遂げたりしたらサー・マグナスが読み犯人が分かる様に。

 

そして今回の転落事故。

 

ロバートは酒場で母親の死を望んでいる事を口にした為、犯人と噂された。手紙を開封される条件が揃ってしまった。

真実が明るみに出て結婚が流れてしまう。

庭師が修理し忘れた裏口から入り、旅行中のマグナス夫妻が帰るまでに手紙を破棄したい。

しかし金庫の暗証番号を知らないから引きあげるしかないが、この押し込みにどう理由をつけるか。

骨董品を持ち出し空き巣に見せかけ池へ捨てる。

ついに、サー・マグナスに呼ばれ屋敷を訪ねる。机には例の手紙。

話し合いは不調に終わり犯行及ぶ。手紙は暖炉の火にくべるが間違えて脅迫状の入っていた封筒を燃やして母の手書きの封筒が机に残ってしまったのだ。

脅迫状では"おまえ"呼ばわりのなのに封筒の宛名は丁寧に"サー・マグナス"とある違和感と、筆跡がメアリの日記と同じであること、燃えかすから被害者の血と犯人の指紋が出たので逮捕に至る。

ピュントは助手に例の美しい森に埋葬して欲しいと残す。また、犯罪捜査について執筆中の原稿や資料も託し、それらは大学の犯罪学研究所に寄贈された。

 

その後のスーザン。

 

会社は燃え上司は捕まり、後遺症で視界がぼやけ原稿も読めないしで会社を畳むことに。

彼氏からプロポーズされ、アパートを売却しホテルの共同経営者になる。

ホテルは儲かってるとは言わないが、彼氏とその家族と仲良く暮らしてる。でも、出版業界を恋しくも思う。

意外にも、アランの既刊本は他社が買い取り表紙を一新すると同時にカササギ殺人事件も出版された。

名探偵の名に密む忌わしい真実は世界に広まったものの、実在の事件、裁判が良い宣伝になりベストセラーになった。

海岸を散策中、カササギ殺人事件の本を目にするスーザン。本の裏表紙のアランの顔写真と目が合い怒りが沸き起こる。

上司の言葉が蘇り、アランがどれだけ身勝手で沢山の読者の楽しみを必要も無いのにぶち壊したか…。全くその通りだ、私もそのファンの一人だったではないか。

上司の代わりに自分がアランを殺す妄想をするスーザン。私だってやってのけられる。アランには当然の報いだと。

 

探偵役だった私が犯人役になる。

 

わかってもらえるだろうか?こっちの方が良かった気さえする事を。